イノベーションと自由
毎年、2万人近い方々へ発信している「今年の言葉」。
30代後半から70代の方まで年代も様々。
「楽しみにしています」 というお言葉、書簡、メールなどを頂き、その選択には慎重になっている。
今年の言葉は例年に比べ非常に長いが、
Donald John Trump 大統領当選が決まり、これを機に心に留めておきたい言葉の群れだ。
つい最近も、 大切なお客様が「今年の言葉」2017年版をブログへ投稿して下さった。
そこで、あらためて2016年の言葉を何度も読み返してみた。
トランプさんがアメリカ大統領となる。
だったらこれを受け入れ、良いチャンスとしたい。
「イノベーションと自由」小宮山宏さんの ”言葉の群れ” が強く心に響く。
割愛した部分を加えフルバージョンで。
「イノベーションと自由」
サービス・イノベーションは、人と人の掛け算です。
なるべく大きな規模で異質の知が交差/交錯する場をつくることが大切です。
知の交差/交錯とは、人と人との関わり、技術と技術の関わり、人と技術の関わり、
それらを全て含むものです。
異分野の者同士も交わることのできるような、
自由で大きな枠組みで、そうしたインタラクションを喚起していくべきです。
アインシュタインは天賦の才に恵まれていましたが、
その天分もひとりでに花開いたわけではありません。
同時代の俊英や俊才たちとの交流は科学者だけにとどまらず、
他の分野の学者や芸術家も含めてそうした活発な交流の中で、
天才的なアイデアがアインシュタインに胚胎したのです。
アインシュタインがトーマス・マンにカフカの小説を借りて感想を求められ
「読み通せなかったよ。人間の頭脳はそこまで複雑にできてはいないからね」
と嘘ぶいたという逸話もあります。
同業者だけで固まるのではなく、異分野同士の知の交差を進めなくてはなりません。
いろいろな意味で人々が自由になった今の時代は、
そうしたことがたやすくできそうな気がしますが、実際にイノベーションが生まれにくい。
私達は今、衣食住や移動に関する不足や不自由から解放されたと言えるでしょう。
つまり21世紀を生きる人類は、時間的にも精神的にもこれまでにない自由を得つつあるのです。
今、人類はこの自由をどのように享受できるかが問われており、
それこそがフロネシス ( 実践の知 ) のテーマなのです。
しかし、実際には誰もがこの自由を十分に生かせているわけではありません。
なぜなら、これまで長年にわたって人類が身に付けてきた社会常識や慣習は、
それをいったん脇に置こうにも、根底でわれわれを規定しており、
自由な思考や行動をはなはだしく阻害するものだからです。
それが桎梏 ( しっこく ) となって、人は自由に考え行動することが不得手になっています。
その束縛にあらがって自由に考え自由に行動するということは、
何も考えずに自然にできることではなく、
意識的に能動的にそうするという構えが必要なのです。
自分の中の既成概念をいったん壊したり乗り越えたりした上で、
自分の頭で考える必要があるのです。
自分の頭で考えると一口に言っても、
われわれは、本で読んだ理論をそしゃくせずに引用したり、
インターネットで検索して出てきた情報を並べ立てたりするだけで、
ついつい考えたつもりになって満足してしまいがちです。
日本には優れた文化がありますが、一般に日本人は自由に考えて行動するということが苦手です。
儒教と科挙を淵源 ( えんげん ) とする官僚制の上意下達の社会システムがこれまではうまく機能していました。
しかし今や、モノも情報も人も国境を越え自由に行き来します。
国に統制を任せ、枠組みをつくってもらい、
お上に言われた通りにしていればそれで済んでいた時代は終わりました。
自分の頭で徹底的に考えた結果、出てきた実践知こそが、
21世紀の未来をつくる原動力となるでしょう。
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“Anyone who has never made a mistake has never tried anything new.” ~ Albert Einstein アインシュタイン~
翻訳:一度も失敗したことのない者は、新しいことに挑戦したことが無いということだ。
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“Learn from yesterday, live for today, hope for tomorrow. The important thing is not to stop questioning.” ~ Albert Einstein アインシュタイン~
翻訳:過去から学べ、今日のために生きろ、明日への希望を持て。大切なことは、常に疑問を持つことをやめてはいけない。
※フロネシス(希: φρόνησις, phronesis, プロネーシス)とは、古代ギリシア哲学。
特にアリストテレスによる哲学的な概念であり、「実践的な知」を示す。
野中郁次郎氏、曰く
「イノベーティブな人」に必要な特質であるフロネシスとは、
「具体的な場面の中で、全体の善のために意思決定し行動すべき最善の振る舞い方を見出す能力」
その根幹にあるのが、知識の知恵化を支援すること。
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