漆黒の文字盤
漆は樹脂が主成分のウルシオール(Urushiol)からできていて、
その他構成物質に酵素/ゴム質/水分を含み、独特な風合いを生み出していると聞きます。
そして、「朱」「白」他の漆色と違い、
「黒色」だけは精製の段階で鉄分を混ぜ、鉄の酸化作用により漆自身が黒色に変化したもので、
他塗料の黒色と異なり、漆でしか出せない特有な黒色になるそうです。
それで、深みのある透明度と艶感を持ち合わせた黒色を「漆黒」と呼ぶようにりました。
Glossy Dial / Gilt Dial = ミラーダイヤル
1950年代後半から1960年代中期のロレックス文字盤には、「漆黒」の表情をしたものが稀にあります。
雲もなく、スパイダーや、蜂の巣にもなっていないウブイ状態の文字盤は、
まるで伝統工芸の漆塗りを施したかのような雅びやかな存在感があります。
単に「光沢のある黒」ではないこの風合いは、おそらく長い時間と原材料とのハーモニーで生まれたものなのでしょう。
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