植草甚一のおかげ(せい)で

植草甚一

天文学的好奇心を持ち、 ノーマン・メイラーの時代感覚をもっていたおじさん。

当時、自分の中へすんなりと入り込んできたその言葉の群れを思い出す。

「HipヒップとSquareスクウェア」 この二つの言葉は遠い昔、このおじさんから学んだ。

1960年代後半から1970年代にかけて、アメリカで盛んに使われた感覚用語。

それ以前の50年代は「ホットとクール」などともいっていたと思う。


“誕生日などの記念品”

Hipは、

1. 夜中の電報

2. 4枚以上の自筆速達手紙

3. 黄色のバラ3ダース。

Squareは、

1. 箱入りチョコレート

2. フランク・シナトラのレコード

3. ミュージカルの切符2枚


”デートする場所”

Hipは、

1. 4晩続けて同じ料理店

2. オペラの立ち見席

3. スーパーマーケット

Squareは、

1. 映画付きドライブ・インスルー

2. グリニッチ・ ヴィレッジ

3. オルガン演奏会


”好きな場所”

Hipは、

1. ハンフリ ー・ボガード回顧映画祭

2. ニューオリンズの波止場

3. ジャクリーン・ケネディがいるどこかの部屋

Squareは、

1. 芝居の第一幕目以後の席

2. 六時すぎのセントラル・パーク

3. コーヒー・ スタンド


”美術館で見るもの”

Hipは、

1. ピカソ

2. ベン・ シャーン

3. コクトー

Squareは、

1. アンディ・ウォーホル

2. リキテンスタイン

3. ジャスパー・ジョーンズ


”作家と言えば”

Hipは、

1. カフカ

2. アイリス・マードック

3. ドストエフスキー

Squareは、

1. ヘミングウェイ

2. ノーマン・メーラー

3. トルストイ


「スクエアは嫌いなものを好きだといい、好きなのに嫌いだという、変な癖がある。

ヒップだからといって汚ないジ ーパンをわざわざはいたり、麻薬のご厄介になったりする必要なんかない。

それよりまず自分自身になる意志をもつことが根本的なヒップの条件だ。」

まさに、この言葉。

十代後半当時こんな本を読みながら毎日を過ごしていた。

のが、

よくなかった…。

これが、

「開高健 → 金子光晴」に繋がる道であったと検証されるのである。

植草甚一のおかげ(せい)で。


しかしながら十代当時は、

「映画とジャズ」について、自分にとっては予期せぬ本質を学んだ。

植草甚一、

会って1杯飲んでみたかった。   


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